料理のなかの塩の効用

料理のなかの塩の効用

 

日本料理は塩加減が難しいといわれます。日本人が感じる主なうま味であるグルタミン酸が、塩によって引き出されるからです。ほかにも塩を上手に使うと、料理がいっそうおいしくなります。

 

山芋をおろす前に塩水に漬けておくとおいしいトロロ汁になるのは、塩にあくを抜く働きがあるからです。同様に、あくの強い山菜をゆでるときには、ゆで水に塩を入れるとあく抜きができます。

 

ホウレンソウや小松菜などをゆでるときに、ゆで水に塩を入れると、きれいな緑色になることはよく知られています。野菜の緑色をつくっているクロロフィルの分子に含まれているマグネシウムイオンが塩のナトリウムイオンと置き換えられ、クロロフィルが安定な形になるためです。

 

ゆで卵をつくるときにひとつまみの塩を入れるのは、塩にタンパク質を固める作用があるので、殻のひび割れから卵白の流失を防ぐことができるからです。

 

その考え方が生かされているのが、魚の塩焼きです。魚を塩焼きにするときの塩ふりは、焼く直前ではなく10〜15分前にすることがポイントです。魚の表面のタンパク質を膜状にするので、魚のうま味が失われにくくなり、さらに塩のもつ脱水作用によって魚の身がしまり、焼く際に崩れにくくなります。

 

脱水作用の応用で代表的なものはきゅうりなどの塩もみです。きゅうりもみの場合、調味酢であえる前にきゅうりの重量の1〜2%の塩を振り、軽くもんだあと、きつく絞り水気をとります。こうすることで、酢の浸透がよくなり、残った塩味がきゅうりの味を引き立てるのです。

 

料理の下ごしらえや準備段階でも、塩の効果を生かす知恵があります。魚の表面の粘り気を洗い流すときに2〜3%の食塩水を使うと、汚れが落ちやすくなるうえに殺菌もできます。

 

リンゴやジャガイモの皮をむいたままにしておくとみるみる変色しますが、これはポリフェノールという成分が酸化酵素の働きでメラニン色素に変わるからで、薄い食塩水に漬けておくと酸化変色が防げます。

 

イチゴを洗うには、濃いめの食塩水に3分ほど漬けておいてからかき回すと、表面のゴミがきれいにとれます。

 

 

 

 


 

トップへ戻る