トリプトファンの効果|うつや不眠を改善する効果はある?

トリプトファンの効果|うつや不眠を改善する効果はある?

 

「うつ病や不眠症の改善」に科学的根拠なし?

 

自然界には、300とも500ともいわれるアミノ酸が存在しますが、私たちのからだを作っているのは、わずか20種類のアミノ酸です。

 

そのうちの9種類は、体内で十分な量を合成することができないため、食事などによって補給する必要があり「必須アミノ酸」と呼ばれています。

 

トリプトファンは、その必須アミノ酸の一つです。アミノ酸の一員としてタンパク質の合成に関わる一方で、精神機能を正常に保つ上で重要な役割も果たしています。

 

必須アミノ酸について補足
理想的な必須アミノ酸の組み合わせを示したアミノ酸評点パターンを基準に、食品に含まれるアミノ酸の充足度を示したものを、「アミノ酸スコア」といいます。

 

その値が100以下のもの(充足していないもの)を制限アミノ酸、充足度が最も低いものを第一制限アミノ酸といいます。タンパク質の合成は、第一制限アミノ酸の量に合わせて行われるため、一つでも不足するアミノ酸があると、十分な量のタンパク質が合成されないことになります。

 

トリプトファンは、セロトニンやメラトニンの原料であると前述しました。

 

セロトニンは、感情をコントロールし、気持ちを安定させる作用をもつ物質です。不足すると、イライラしたり、怒りやすくなったり、気分が沈みがちになったりします…。

 

そのため、うつなどの精神疾患との関連性も指摘されています。

 

 

一方のメラトニンは、脳の松果体から分泌される物質で、からだの日内リズム(体内時計)を整えたり、睡眠と目覚めの周期を調節したりする働きをもっています。

 

日本での製造・販売は認められていませんが、海外では、時差ぼけによいサプリメントとしても用いられています。

 

こうしたことから、トリプトファンを摂るとうつ病や不眠症が改善する効果があると思われているようですが、今の段階では科学的な裏づけにも乏しく、確実な効果もあまり期待できないようです。

 

うつの場合早めの治療が功を奏することが少なくありません。やる気が出ない、興味がわかない、夜、ぐっすり眠られないなどの症状があるときには、早めに専門医に相談をしましょう。

 

すでに治療を受けている方で、サプリメントを試してみたいと思ったときには、主治医や薬剤師に必ず相談するようにして下さい。

 

 

トリプトファンをたくさん摂れば、うつの症状はよくなる?

 

トリプトファンはセロトニンやメラトニンの原料だけど…

 

感情のコントロールに関わるセロトニン、睡眠のリズムに関与するメラトニン。アミノ酸の一種であるトリプトファンは、こうした神経伝達物質の前駆物質(原料)であることが知られています。

 

最近は、うつとセロトニンの関係に注目が集まり、実際のうつの治療にも、脳内のセロトニン量を増やす薬剤が多く使われるようになりました。

 

それなら、セロトニンを増やすために、その原料である「トリプトファンをたくさん摂ればいい?」、という声も出てくるのですが、残念ながら、そう簡単にはいかないようです。

 

また、トリプトファンだけを多く摂るというのも、ちょっと心配です。

 

 

トリプトファンはもちろん、からだにとって必要な成分ですが、特定のアミノ酸だけを極端に多く摂ると、アミノ酸全体のバランスが崩れ、健康を害するおそれがあるのです。

 

アミノ酸を摂るときには、他のアミノ酸とのバランスをよく考えて摂るようにしましょう。

 

アミノ酸をバランスよく摂ることで体調の改善や体力アップにつながり、そのことが、うつの症状にもプラスに働いてくれるかもしれません。

 

 

トリプトファンだけを極端に多く摂ったりしないように!

 

セロトニンはこのほか、緊張型頭痛や月経前の精神的な症状(イライラ、不安、緊張など)にもよいのではないかといわれています。だからといって、トリプトファンだけを極端に多く摂ったりしないようにしましょう。

 

1990年、当時の厚生省はこんな注意を呼びかけました、「アミノ酸のバランスが悪い蛋白質を継続的に摂取すると、健康に悪影響を及ぼすことがある」「特定のアミノ酸を高濃度に含有する健康食品を継続的に摂取すると、アミノ酸バランスを損なうおそれがある」。

 

アミノ酸は、仲間がみんな揃っていないと、十分な力を発揮できません。1種類でも不足するアミノ酸があると、合成されるタンパク質の量も減ってしまいます。バランスよく摂ってこそのアミノ酸。トリプトファンの「効果」も、その中でこそ期待されるのです。

 

トリプトファンによる健康被害が疑われた
1980年代後半から1990年代にかけて、好酸球増多・筋肉痛症候群(EMS)が、アメリカで、次いで日本でも問題となりました。

 

トリプトファンを含む医薬品やサプリメントを摂取した人に、筋肉痛や関節痛、皮膚の硬化、湿疹、浮腫(むくみ)などの症状がみられたもので、原因物質としてトリプトファンが疑われました。

 

その後の調査の結果、EMSはトリプトファンそのものが原因ではなく、遺伝子組み換え技術を用いたトリプトファンの製造過程で生じた不純物によるものであることが明らかになりました。

 

当時、そのような不純物が生じることは予期できなかったともいわれますが、人の健康に関わる問題。より慎重な対応が望まれます。


 

トップへ戻る