魚に含まれる豊富な栄養素 DHAとEPAの効果と働きがスゴイ

魚に含まれる豊富な栄養素 DHAとEPA 

DHAとEPAの効果と働き

 

脂肪というと、とりすぎると肥満になったりコレステロールがたまるなどの悪いイメージをもつ人が少なくありません。

 

確かに、飽和脂肪酸が主体の肉類などの脂肪をとりすぎると、血清コレステロールがたまりやすくなり、動脈硬化を促進させます。ところが、DHA(ドコサへキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)には次のような働きがあります。

 

血栓を防ぐ効果があるEPA(エイコサペンタエン酸)

 

血管の中にできる血液の塊を血栓とよんでいますが、血栓が脳にできると脳梗塞を起こします。

 

また、心臓に関係の深い血管にできると、心筋梗塞の誘因となります。

 

EPAは、血液中に入ると血小板を固まらせにくくするプロスタグランジンT3という物質をつくって、血栓ができないようにする働きをもっています。

 

EPAと血栓の関係がわかったのは、もともとイヌイットの人々の研究からでした。デンマークのダイアベルグとバング両博士らが1963年から4年間にわたって、イヌイットの血液成分、血栓性疾患、食生活などの調査を行いました。

 

調査の結果では、グリーンランドに住むイヌイットには血栓症が極端に少なかったのです。彼らの主食は牛肉や豚肉ではなく、アザラシなど海の哺乳類の肉と魚介類でした。

 

一方で、デンマーク本土で生活しているイヌイットの場合は、血栓性の病気にかかる率が高いなどの結論から、血栓性の病気は民族的あるいは遺伝的なものではなく、食生活によるものであることがわかりました。

 

そのうえ、デンマーク本土に住む人と、グリーンランド在住のイヌイットの血液中に含まれる脂肪酸の組成の違いが発見され、イヌイットの血液中の脂肪酸が血液を固まりにくくしているということが明らかになりました。

 

この脂肪酸こそがEPAであり、EPAが注目されるきっかけとなったのです。

 

魚の上手な食べ方 【DHAやEPAを効果的にとる】

 

 

コレステロール値を下げる効果があるDHAやEPA

 

コレステロール値を下げるDHAやEPA動脈硬化を促進させる要因に、血管壁にたまるコレステロールの存在があります。

 

もっともコレステロール自体はからだにとってすべて毒になるわけではなく、体内の細胞膜をつくる成分になるなど、からだに欠かせない物質です。

 

 

コレステロールはそのままの形では血液に溶け込めないため、タンパク質と結びついて、血管内を流れて全身の細胞に運ばれていきます。

 

このときコレステロールを血管壁に運ぶのがLDL(低比重リポ蛋白)で、逆に、余分なコレステロールを排泄させるために、肝臓へ運ぶ役割を担っているのがHDL(高比重リポ蛋白)という物質です。

 

 

LDLが増えると、血管壁にコレステロールがたまりやすくなり、HDLが増えれば余分なコレステロールが少なくなります。

 

そのため、LDLとくっついたコレステロールを悪玉コレステロール、HDLとくっついたコレステロールを善玉コレステロールとよんでいます。

 

 

DHAやEPAは、悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やして、最終的に総コレステロール値を下げる働きがあることが、多くの実験から証明されています。

 

しかも、治療を要するようなコレステロール値の高い人には、即効性があるうえ、必要な量のコレステロールは確保されるという理想的な働きをすることも明らかになっています。

 

中性脂肪を減らす効果があるDHAとEPA

 

からだの中にある脂質の一種である中性脂肪も蓄積されると、肥満の原因となり、コレステロールとともに動脈硬化を促進させる原因の一つとなります。

 

ラットを使った実験などで、コレステロールの場合と同じように、DHAとEPAは血液内の中性脂肪も減らすことがわかっています。治療が必要なくらい中性脂肪が多い人でも、急激に減ることも証明されました。

 

 

中性脂肪が減少する仕組みははっきりとはわかりませんが、中性脂肪を供給している肝臓に働きかけるのではないかと考えられています。

 

なお、悪玉コレステロールを減らす働きはDHAのほうが強く、中性脂肪を減少させる作用は、EPAのほうが強力であることもわかっています。

 

血圧を下げる効果があるDHAやEPA

 

血圧が高い状態が続くと、当然長い年月の間に、血液を送り出す心臓や、血液が流れる血管に負担をかけることになります。

 

DHAやEPAは、血圧を下げるのにも役立っています。

 

コレステロール値を下げたり、血栓ができるのを防いで血液を流れやすくするという効果が影響しているだけでなく、血管を柔軟にする作用があるためだといわれています。

 

高血圧症の原因には、過食や運動不足、塩分のとりすぎ、年齢などと並んで遺伝的な要因が大きくかかわっています。

 

そこで、高血圧の予防や治療について実験を行うために、何代にもわたって血統を操作し、遺伝的に高血圧になりやすいラットがつくられています。

 

育っていくうちに必ず高血圧になるようにつくられたラットに、α-リノレン酸、リノール酸、DHA、EPAの4種類のえさを食べさせて実験を行ったところ、DHAを与えたラットはほかのラットに比べて明らかに血圧の上昇が鈍くなることがわかります。

 

 

脳を活性化させる効果があるDHA(ドコサへキサエン酸)

 

DHAが注目された一番の理由が、脳の活性化に対する働きです。

 

89年、英国脳栄養化学研究所のマイケル・クロフォード教授がさまざまな動物の脳を調べ、DHAが脳の発達に重要な役割を果たしてきたことを発表しました。

 

さらには、「日本人の子どもが欧米人の子どもに比べて知能が高いのは、日本人が昔から魚を多く食べてきたため」とも述べ、話題となりました。その後、数々の研究がなされてクロフォード教授の理論は裏付けられています。

 

 

例えば、魚油を与えて飼育したマウスとそうではないマウスとに水分を制限しておき、出口に水を置いた迷路に放します。すると、魚油を与えられていないマウスは、与えられていたマウスに比べて出口にたどりつくのに、3倍以上の時間がかかります。

 

DHAは体内に入ると、ほかの物質がなかなか通ることのできない脳にある血液脳関門を通り、脳細胞に達します。そこで脳の情報伝達をスムーズにするアセチルコリンの分泌を促し、脳に刺激を与えると考えられます。

 

EPAは、血液脳開門を通れないので、脳の活性化はDHAだけの特性といえます。

 

 

また、同じような実験で、DHAを与えて飼育されているマウスは、記憶学習能力も優れていることが証明されました。

 

そのうえ、DHAは脳の機能低下を防ぐ働きがあることもわかり、高齢者の脳の老化や認知症の予防にも効果があることが証明されています。

 

がんの予防効果のあるDHAとEPA

 

DHAとEPAには、がんを抑制する効果もあります。もともとはイヌイットとデンマーク人との比較で、魚を主食とするイヌイットのほうにがんの発生率が低いことが注目され、研究されるようになりました。

 

予防がん学研究所の平山雄所長の研究が有名です。65年に日本全国の26万人以上の成人に喫煙や飲酒、食生活などについての聞きとり調査をし、その後17年間追跡調査も行いました。

 

その結果、魚介類を一切食べない人は、毎日食べている人に比べて80歳までにがんになる確率は5割以上も高くなるということがわかりました。そのほか、国立がんセンターなどの実験でもDHAやEPAががんを抑制することがわかっています。

 

DHAやEPAががんを抑制するのは、がんの増殖を促進させるプロスタグランジンE2という物質を体内で増やさないように働きかけているのではないかと考えられています。特に抑制の効果が高いのは、大腸がんや乳がん、子宮頚がんなどです。

 

また、すでにがんにかかっている人の場合でも、がん細胞の増殖を抑える効果があるため、延命効果が期待できるとされています。

 

DHAやEPAの、そのほかの効果

 

DHAやEPAには、そのほかにもいろいろな働きがあるといわれています。例えば、DHA、EPAはアレルギー反応を抑制するため、アトピー性皮膚炎や気管支ぜんそくなどの患者が魚油の投与で、症状が改善したという報告例もあります。

 

また、心理テストにおいて、EPAを投与した人たちには、精神安定効果が得られたといった例が報告されていますし、視力の改善にも効果がみられるようです。

 

 

DHA、EPAの多い魚と含有量

 

からだにとって重要な働きをしてくれるDHAやEPAは魚油ですから、魚のなかでも特に脂ののった魚に多く含まれています。DHAやEPAは背の青い魚に多く含まれています。

 

イワシやサンマ、アジ、サバ、マグロ、カツオなどが代表的な例です。

 

マイワシの脂肪中には、血栓予防効果をもつEPAが特に豊富

マグロの脂肪分には脳の働きをよくするといわれるDHAが多く含まれます

DHAやEPAなどの脂肪酸に富むサケ

DHAやEPAを豊富に含む代表的な青魚

 

同じ魚でも、マグロなら赤身よりもトロのように脂肪が多い部分により多く含まれています。

 

また、DHA、EPAを最も多く含んでいるのは魚の目の裏側の眼高脂肪とよばれる部分です。そのほか、同じ種類の魚でも、季節によって脂肪の量が変わってきます。いわゆる旬の魚が最も脂がのっていて味もよいのですが、DHAやEPAもそれだけたくさん含まれているということになります。

 

DHAやEPAが最も多く残る調理法は生のままで食べることです。刺し身では中トロ4切れ程度で1日に必要な量を摂取できます。

 

季節によって異なるDHAとEPAの含有量

 

季節によって異なるDHAとEPAの含有量同じ魚種でも、季節によってDHAやEPAが含まれている量は変わります。例えば、太平洋系のマサバの場合、春から初夏にかけての産卵期には、DHAやEPAを含む不飽和脂肪酸の含有量は、0.4〜0.7g/100gと非常に少なくなります。

 

ところが産卵期前の秋は、えさをたくさん食べて、いわゆる脂ののる時期となり、不飽和脂肪酸は6g/100gと大幅に増加します。

 

季節の変動によって、DHAやEPAの含有量が変化するのはどの魚にもみられることで、旬の魚が一番含有量が多いといえます。

 

サンマやイワシは秋、マグロは冬、ウナギやアユは夏が旬といわれています。ただし、地方によって多少のずれがあるようです。

 

 

魚以外のDHA(ドコサへキサエン酸)のとり方

 

自然の食品からDHAを直接とれるのは魚介類だけですが、魚がどうしても食べられない人やアレルギーなどがある人のために、DHA入りの栄養補助剤や加工食品などが売りだされています。

 

DHAだけを魚から高純度に精製できる技術が発達したおかげです。

 

栄養補助剤としては、DHA入りのカプセル剤が発売されていますが、DHAだけでなく、ビタミンなどほかの栄養素を含んでいるものもあります。

 

DHAを含んだ卵や、加工食品では、みそ、ツナ缶、粉ミルクなどがあります。

 

 

DHAやEPAは不飽和脂肪酸の一種

 

私たちのからだに欠かせない栄養素の一つに脂質があります。脂質は食べ物からとり入れられ、エネルギー源となったり、細胞膜を構成する成分にもなります。

 

脂質を構成しているのが、グリセロールと脂肪酸で、魚介類の脂質のなかには約25種類以上の脂肪酸が含まれています。

 

 

脂肪酸は化学構造上、大きく2種類に分けることができます。

 

水素がこれ以上結合する余地のない脂肪酸を飽和脂肪酸といい、室温では固体状になるもので、バターやラードなどがこれにあたります。

 

 

もう一つは、水素が結合する余地のある脂肪酸で、二重結合部をもっている不飽和脂肪酸です。

 

不飽和脂肪酸のなかでも、二重結合部分を一つしかもっていないものを一価不飽和脂肪酸、二個以上もっているものを多価不飽和脂肪酸とよびます。不飽和脂肪酸は、室温では一般的に液体状になっているのが特徴です。

 

 

豚肉や牛肉などの動物性脂肪やヤシ油は、飽和脂肪酸が主体ですが、ベニバナ油といった植物性脂肪の多くと魚類の脂肪(魚油)などは不飽和脂肪酸が主体となって構成されており、なかでもDHAやEPAは多価不飽和脂肪酸にあたります。

 

やわたのDHA&EPAの効果

 

 


 

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